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K子さん家族は久しぶりにお父さんが2日間の休みをとれたので、お父さんの運転で阿蘇まで1泊2日の旅行に行く事にしました。日頃は接待ゴルフなどでほとんど運転する機会がないお父さんだから、家族はみんなちょっぴり不安。だけどドライブに出かけるうれしさはそれ以上です。

K子さんは温泉の紹介本や情報誌を読んで、黒川温泉の近くの小田温泉にある素敵な宿に予約し、昼食などおすすめのレストランもピックアップ、目的地までのナビゲーション役を務める事にしました。
ビデオにデジカメ、旅行雑誌に地図など用意万端、いざ出発と家族4人で車に乗り込みました。

お父さんがエンジンをかけようと、意気揚々とキーを回したんですが、エンジンは「うぅん、うぅん、うぅん」というだけで一向にかかりません。お父さんは、「おかしいなぁ、半年前に新品のバッテリーに交換したばかりなのに・・・。あのカーショップ、古いバッテリーを売りつけたな」と怒り出す始末。

だけど、K子さんは考えました。「本当にあの店が古いバッテリーを売り付けたんだろうか?お店の人はとっても親切だったし、2年保証って言っていたよね。どうせ保証するのに、そんな古いものを売るなんて思えない」と半信半疑です。いったい、どうしてこんなことが起こったのでしょうか。

週に1回は30分程度エンジンをかけましょう。
カーショップの人は決して古いバッテリーを売りつけたわけではありません。バッテリーが上がった原因は、交換した時期とお父さんの行動にありました。
滅多に車に乗らないお父さんが、真夏の暑い時機にバッテリーを交換し目いっぱいエアコンをつけて走り、それ以来、あまり乗らず、12月、1月と車を動かさないままに今日を迎えてしまったからです。今の車はまったく車を動かさなくても、ラジオや時計といった機能を保持するために電気は流れています。
では、K子さん家族はどうしたらよかったのでしょう。車の待機電力はそんなに大きな電力ではないので、週に30分程度、エンジンをかけるだけで十分充電できます。ガソリンタンクの内部やホースの中に溜まった水分による、エンジン周辺やラジエーター内部の腐蝕を予防するためにも、週に1回は車を動かすようにしましょう。
  さてさてK子さん家族は、お隣の方にブースターケーブルを
つないでもらってエンジンをかけ、近くのガソリンスタンドで
バッテリーを点検してもらって、やっと出発。
何だか先々が不安な旅立ちです。

自宅をやっとのことで出発したK子さん家族。まずは、最初の目的地である日田市の豆田町へ向かうために、天神北ランプから都市高速に乗り、太宰府ICへと進みました。時間が早かったことと休日ということもあって、交通量は少なく、快適なドライブコースに気をよくしたお父さん。
ついついスピードも上がり気味です。

すると、スピードが増すにつれて、車体ががたがたと振動し始めたのです。天気にも恵まれ、高い位置にある都市高速道路から、福岡空港に発着する飛行機や福岡市街の眺望を楽しんではしゃいでいた子どもたちも段々不安そうな顔になります。K子さんも不安になってお父さんを見ると、お父さんの顔もこわばって、かなり気にしている様子です。

そこで、K子さんが「お父さん、一度、都市高速を下りて、ガソリンスタンドかどこかで車を診てもらいましょうよ」と言うと、お父さんもうなずいて、月隈ランプで下り、いちばん最初に見かけたガソリンスタンドへと飛び込みました。

セルフのガソリンスタンドで、アルバイトの男性しかいませんでしたが、どこが悪いのかはすぐにわかりました。タイヤがぺしゃんこなのです。といってもパンクまではしていないようです。だけど、K子さんたちには、空気が減っているだけでどうしてあんなに揺れるのか、どうしてもわかりません。一般道を走っているときは何ともなかったし、半年前バッテリーを替えた際は、タイヤの空気は充分だったのに…。

タイヤの状態はこまめにチェックしましょう。
タイヤの空気が少なかった場合、スピードが出てない一般道では、回転が遅いため、路面に接した部分が変形しても、すぐに丸い形に戻ります。
でも、スピードが上がって回転が高速になればなるほど、接地面の変形が戻らないまま回転することになり、大きく波打ったような状態になります。
これをスタンディングウェーブ減少といい、やがてタイヤそのものが変形し、ひどい時にはタイヤが破裂することもある、大変危険な現象です。
また、半年前に空気圧が充分だったとしても、真夏と真冬ではかなりの温度差があり、それだけでも空気圧は減りますし、密閉率が高いとはいえ、少しずつ空気は抜けていきます。まして、ずっと使わないと抜けるスピードはもっと早くなります。
久しぶりに運転したり、高速道路を使って遠出する時などは空気圧のチェックを必ずしておきましょう。また、タイヤの溝ばかりをきにするようですが、K子さん家族のように滅多に車を使わない場合、ゴムの劣化によるひび割れの方が心配なので気をつけて下さい。
  K子さん家族は、やっと出発できます。
もう、何事もありませんように!
何せ、まだ、福岡市を出ていないのですから・・・。

何とか太宰府ICから九州自動車道に乗り、お父さんは恐る恐る加速します。今度はタイヤのぶれもなく、スピードを上げても大丈夫です。車さえちゃんとしていれば、青空の下、鳥栖ジャンクションから入った大分自動車道でも爽快なドライブが楽しめました。

40分ほどで日田市豆田町に到着。日田は江戸時代に天領として栄えた町で、今でも豆田町の旧家には由緒あるお雛様が残り、春には一般公開されています。ここを訪ねるのはK子さんと娘のIちゃん(小学6年生)の希望です。

旧市街地の駐車場に車を止め、エンジンを切ったのですが、ブルンブルンとうなりを上げてなかなかエンジンが止まりません。しばらくしてエンジンは止まりましたが、何か臭いがします。「また?」とお父さんは疲れた顔でボンネットを開けました。

すると排気ガスのような臭いがして、かなりの高温です。慌てて車内のヒートゲージを見たら、危険ゾーンの手前、なんとかオーバーヒートは免れたようです。とりあえず、エンジンが冷えるまで、豆田町の散策とランチタイム。広瀬淡窓記念館やたくさんのお雛様を見学して、充分満足しました。

エンジンは冷えていましたが、まだまだ先は長いので、整備工場を探すことにしました。最初に見かけた中古車センターに入ると、整備の経験があるという営業の方が診てくれました。「ラジエーターの水が汚れていて、少し漏れ気味」ということで、不凍液を継ぎ足して漏れ留めを入れてくれました。K子さんは前の車検の時に不凍液交換を勧められたのに、そのときは何ともなかったので支出を抑えたくて替えませんでした。『あのとき、替えてもらっておけばよかった』とちょっと後悔気味。何はともあれ、今回の旅行は続けられそうです。

不凍液は車検ごとの交換をお勧めします。
整備には故障箇所を直す整備と予防のための整備があります。K子さんが車検に出した工場の人が提案した不凍液の交換は後者にあたります。
ラジエーターの中には「不凍液」といわれる冬場の寒さでも凍らず、夏の高温時にはエンジンを冷却するための水が入っています。
この液はエンジンが動くことにより、高温になってしまうので、長時間替えないと酸化し、ラジエーターの中を錆び付かせてしまい、目詰まりやひどい時にはラジエーターに穴をあけてしまいます。一度でも高温になった不凍液は酸化が始まりますので、エンジンを動かさない方が余計に腐蝕しやすくなります。
K子さん家族のように、車を使うことが少ない場合は、特に注意が必要です。万全な予防のためには、車検ごとの交換をお勧めします。(まれに、長期無交換の不凍液もあります。この場合、ラジエーターの上にステッカーが貼ってあるので、確認してみてください)
  今回は、ほっとひと安心。
でも、「プロの意見はきちんと聞いておいた方がいいんだ」と
思い知らされたK子さんでした。

次は、お父さんの希望である日田のビール園へ。
ビール工場でビールがつくられる過程を見学し、お父さんはできたてのビールを試飲し、K子さんと子どもたちはジュースを飲みました。おつまみつきでおいしいビールを飲んだお父さんは幸せそうです。

ここからはK子さんが運転します。自分が運転するとなると、我が家を出発してからのトラブル続きを思い出し不安になります。そして気がついたのが、エンジンをかけた時に前方から聞こえてくるキュルキュルという音。今度は、いつもお世話になっている整備工場に電話して聞くことにしました。さすがに我が家の車のことはよく知っています。『前回の車検の際に、ベルトに小さな亀裂があったので交換をお勧めしていたんですが。キュルキュルという音はそのせいでしょう』とのこと。「どうしたら、いいですか。
このまま走り続けるのは不安です」と話すと、『日田に提携の整備工場があるので、連絡しておきます』ということで、整備工場へ向かいました。

いつもの工場からはすでに車検時のカルテがファックスされており、幸いにも在庫があったので、すぐに交換してもらいました。ついでに、いろんなところを点検してもらいました。すると、ブレーキの所から少しオイルがにじんでいるとのこと。お父さんが不安気に「大丈夫ですか?」と聞くと、『少なくとも今回の旅行の間は大丈夫ですよ。でも、帰ったら一度ちゃんと診てもらってくださいね。車も家族の一員ですし、家族の安全を担っているんですから』とやさしく釘をさされてしまいました。タイヤのトラブルのときに引き返す勇気があったらと、K子さんは反省しきりです。

ベルトの傷みは、素人の方ではわかりません。
ベルト類にはファンベルト、クーラーベルト、パワーステアリングベルトといったものがあり、素人の方が見ただけでは、その傷み具合はわかりにくいものです。
傷みはじめたベルトはエンジンが冷えている時に、キュルキュルという音をたてることがよくあります。これは、ベルトが伸びてしまい、滑っている音です。このまま放置していると、ベルトが切れて突然ハンドルが重くなったり、クーラーが効かなくなったり、オーバーヒートなどを引き起こします。
まして、切れたベルトが何かに絡まりでもしたら、大変なことになります。定期的に信頼のおける整備工場で点検を受けることをお勧めします。高速道路を走る前などには特に必要でしょう。
 『車は家族』。愛車にもいたわりと思いやりを持って接し、快適なドライビングライフを過ごしてください。
  K子さん家族はこの後、小田温泉の宿で温泉と食事を堪能し、
2日目は阿蘇で遊んで無事に旅を楽しみました。
帰ってきた翌日、車を点検に出したことはいうまでもありません。

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